非破壊試験の各レベル所有者に対しては「JIS Z 2305に基づいた非破壊試験技術者の資格および認証」により役割が定義されています。
非破壊試験技術者レベル1は 「試験準備」 「試験実施」 「記録・分類」 「報告」 が主な役割です
- NDT(非破壊試験)装置を調整する ⇒ 非破壊試験を実施する前に装置を検査できるように調整することができます
- NDTを実施する ⇒ 指定された手法のNDTを実施することができます
- 記載された基準に従ってNDT結果を記録し、分類する ⇒ NDT結果を記録することができます。またNDT指示書などに記載されている基準に従って、試験結果を分類することができます
- 結果を報告する ⇒ 非破壊試験技術者レベル2以上の有資格者に試験結果を報告することができます
(以上、JIS Z 2305 2024 非破壊試験技術者の資格及び認証から抜粋)
レベル1の技術者は、レベル2やレベル3といった上位資格者の指導・監督のもとで、定められた手順に従って試験を実施する役割を担います。
レベル1では、試験装置の準備や点検、試験片表面の清掃、探触子の取り付け、感度調整、校正ブロックを用いた装置校正など、試験の基礎的な作業を正確に行うことが求められます。また、指定された試験手順書に基づいて測定データを取得し、異常信号の有無を確認して記録します。ただし、結果の評価や判定、試験手順の選定や改良といった判断業務は、原則としてレベル2以上の技術者が行いますので、レベル1の技術者として、安全管理や品質確保のため装置操作や探傷原理、超音波の伝播特性などの基本知識を理解している必要があります。
つまり、レベル1技術者は非破壊検査チームの中で、実作業の正確な実施とデータ取得を担当し、検査の信頼性を支える重要な現場実務者としての役割を果たします。
非破壊試験技術者レベル2はレベル1の役割以外に、「NDT方法の選択」 「NDTの監督」 「NDT結果の評価」 「NDTの教育」 の役割も求められます
- 使用するNDT方法に適用するNDT技法を選択する ⇒ 超音波探傷試験の垂直探傷法や斜角探傷法などを選択することができます
- NDT方法の適用制限を明確にする。 ⇒ 非破壊試験を適用する範囲や試験対象物など、制限を明確にすることができます
- NDTコード、規格、仕様書及び手順書を実際の作業条件に適したNDT指示書に書き換える ⇒ 発注者から提出された仕様書やレベル3が作成したNDT手順書を参考に、実際の作業に適したNDT指示書に書き換えることができます
- 装置の調整及びその検証を行う ⇒ 非破壊試験を実施する前に装置を調整することができます。また、その検証を行うことができます
- NDTを実施し、監督する ⇒ 非破壊試験を実施することができます。また、非破壊試験を監督することができます
- 適用される規格、コード、仕様書又は手順書に従って結果を解釈し、評価する ⇒ 規格や手順書などに記載されている評価基準に従って検査結果を評価し、合否判定ができます
- レベル2又はそれより下のレベルの全ての作業を実施し、監督する ⇒ レベル2以下の技術者が実施できる全ての作業を実施したり、監督することができます
- レベル2又はそれより下のレベルの技術者を指導する ⇒ レベル2以下の技術者に対して、指導したり教育したりすることができます
- NDT結果を報告する ⇒ 試験結果を報告することができます
(以上、JIS Z 2305 2024 非破壊試験技術者の資格及び認証から抜粋)
レベル2の技術者は、実際の試験業務を主体的に実施し、その結果を評価・判定する中心的な役割を担います。
レベル1が上位者の指示のもとで試験を行うのに対し、レベル2は自ら試験方法を選定し、試験条件の設定、装置や探触子の選択、校正の実施など、試験全体を統括的に進めることができます。また、取得した探傷データから欠陥の有無や位置、形状、大きさなどを解析し、基準や仕様に基づいて合否を判断する責任を持ちます。
さらに、レベル1技術者への指導や監督、作業の品質管理、試験報告書の作成なども重要な業務です。レベル2には、超音波の伝播理論や反射・屈折の特性、試験体の材質や形状による影響など、より高度な知識と実践的な技能が求められます。加えて、規格(JIS、ASMEなど)に基づく評価基準を理解し、正確に適用する能力も必要です。
つまり、レベル2技術者は、非破壊検査における実務と判断の両面を担い、検査の信頼性と品質を確保する中心的な存在となります。
非破壊試験技術者の試験および認証スケジュールを確認しましょう
超音波探傷試験(UT)の技術者認証は、学科・実技の両面で十分な能力を備えた技術者を育成するために実施されます。まずは応募に求められる受験資格を有しているか、受験のスケジュールはいつかなどをJSNDI(日本非破壊検査協会)のHPで必ず確認しましょう。
- 一次試験・二次試験申込み、受験申請書の提出 春季:1月下旬~2月上旬、秋季:7月下旬~8月上旬
- 事前準備として、受験するレベルに応じた受験資格について確認する必要があります。
受験資格1)NDT 方法における最小限の訓練時間
受験資格2)近方視力および色覚
上の1)の条件を満たすためには各訓練が必要となります。レベルごとに必要とされる訓練内容はJSNDIのHPにある『訓練シラバス』を確認してください。すべての訓練を受講し終えたら訓練先から『訓練証明書』をもらうのも忘れないでください。
受験内容、受験資格の有無、必要書類の準備が終われば受験申し込みをします。簡易書留で送るべき必要書類3つは以下の通りです。
①受験申込書(JSNDIのHPから取得)+顔写真(脱帽・正面・上半身・6カ月以内撮影のもの。サイズは縦30mm×横24mm)
②「非破壊試験技術者の資格及び認証」に関する視力検査証明書(JSNDIのHPから取得)
③訓練証明書(訓練証明書は実施日から5年間有効)

- 受験資格の審査、一次試験受験票の送付 春季:3月中旬、秋季:9月中旬
- 受験に必要な資格の必須条件を満たしていると判断された場合、受験票、調査表、受験会場地図、払込用紙(請求書)が入った封筒が試験日の2週間前に郵送されます。
受験内容に間違いがないことを確認し、試験日までに受験料を支払います(郵便局、コンビニエンスストア払い)。

- 一次試験の受験 春季:3月下旬、秋季:9月下旬
- 試験日までに、受験票と、試験日に回収の調査表に顔写真(申込時と同じ写真規定のもの)を貼付して準備しましょう。万一写真が本人だと確認できない場合、受験を断られることがありますので注意しましょう。
一次試験は筆記で、問題は以下の2つです。合格の条件は70%以上の得点です。
①一般問題
②専門問題
一次試験合格者は、二次試験でもこのときの受験票が必要になりますので紛失しないよう管理してください。

- 一次試験および採点結果の審査と結果通知、合格者には二次試験実施案内の送付 春季:4月下旬、秋季:10月下旬
- 試験日から約1か月後に合否の結果が通知されます。
合格者のみ二次試験を受験できます。合格通知書に記載の二次試験(実技試験)会場と日時を確認しましょう。あわせて同封されている二次試験の実施要項と試験会場の地図も確認してください。

- 二次試験の受験 春季:5月上旬~6月下旬、秋季:11月上旬~12月下旬
- 一次試験の合格通知書に記載された試験会場で二次試験を受験します。あらかじめ二次試験の実施要項に目を通すことも忘れないようにしましょう。当日は必ず一次試験で使用した受験票を持参してください。
二次試験は実技です。合格には各試験体で70%以上の得点、さらにレベル2ではNDT指示書作成でも70%以上の得点が必要です。

- 二次試験および採点結果の審査、二次試験の結果通知の送付 春季:7月下旬、秋季:1月下旬
- 合否の結果が通知されます。合格者には合格通知書とともに新規認定申請書が同封されていますので、必ず中身を確認しましょう。
万一二次試験で不合格となった場合も、一次試験の合格は合格した年と翌年の合計2年間は有効です。有効期間内に再度二次試験を受験しましょう。2年を超過すると一次試験の合格は失効しますので、再度一次試験からやり直すことになります。

- 新規認証申請書の提出 春季:7月下旬~8月上旬、秋季:1月下旬~2月上旬
- 合格通知書に同封の新規認証申請書に必要事項を記入し、顔写真を貼付して必ず期限までに簡易書留で返送します。
申請には各NDT方法ごとに定められた経験月数を満たしている必要があります。新機認証申請の有効期限である2年以内に月数を満たすようにしてください。
また、他のNDTの資格証明書を保有していない場合、住民票の写し(コピー不可、発行日から6カ月以内のもの)も提出を求められます。申請までに公共窓口などで取得し準備してください。

- 認証資格の審査、資格審査結果の送付、資格証明書の送付 申請書の提出後2週間程度
- 認証申請に対する審査結果が郵送されます。適格となった場合は結果とともに認証申請料の振込用紙(請求書)が同封されていますので必ず確認のうえ支払いを実行してください。
支払確認後に資格証明書が送付されてきます。

- 認証資格の取得
- 資格証明書の到着をもって認証資格の取得は完了となります。
資格証明書の有効期間は、最初に登録してから5年間です。5年目を迎える時に更新手続きが必要になります。書類手続きを行うことでさらに5年、計10年間延長されます。
さらに延長するには再認証試験が必要です。10年の有効期間満了前に再認証試験に合格し手続きをすると5年間有効の資格が発行されます。
以降は5年ごとに書類手続きと再認証試験を交互に繰り返していきます。

NDT 方法における最小限の訓練時間 ( JIS Z 2305 : 2013 )
受験申請を行うには、最小限の訓練時間を満足する必要があります。この訓練時間は5年間有効になります。
| NDT方法 | レベル1 | レベル2 | レベル3 UTレベル2資格を保持していること | |
| レベル1資格保持者 | レベル1資格非保持者 | |||
| UT | 40時間 | 80時間 | 120時間 | 40時間 |
NDT 方法における資格申請に必要な工業に関わる最小限の経験月数 ( JIS Z 2305 : 2013 )
新規で試験に合格した場合、認証申請を行います。その際に工業に関わる最小限の経験年数が定められています。受験申請時点での経験年数は問われませんが、新規認証申請を行う際は工業に関わる経験年数を満足しておく必要があります。新規認証申請書の有効期限は2年間になります。
| NDT方法 | レベル1 | レベル2 | レベル3 UTのレベル2資格を保持していること | |
| レベル1資格保持者 | レベル1資格非保持者 | |||
| UT | 3か月 | 9か月 | 12か月 | 36か月 |